夫の浮わ気

贅沢な話だけど,これを書いたのが黒木瞳でなければそれほどいいとは思わないだろうし,黒木瞳が書いたとしても,この文章でなければこんなに面白くはないだろう。そういうわけで,どちらの条件もクリアしてとても面白い本になった幸運な例だと思う。彼女の文章がよいのはとても幸運なことであったと思う。
黒木瞳がクロキヒトミというブランドネームとどのように付き合っているか,夫もどのように付き合っているか,なんとなく分かるところもよい。
夫は浮気したことがないって本文にあるけど,したことがあっても本人には言えないよなあ。したことがあっても,本に「あります」とは書けないし,この辺がブランドネームのコントロールという,俺が想像もしたことがない分野の話であろう。
……ちょっと大袈裟。桐野夏生のファンでもあるんだけど,彼女が解説を書いた本って当たりが多いと思う。解説そのものが読ませるものにもなっているしね,いつも。

夫の浮わ気 (幻冬舎文庫)

夫の浮わ気 (幻冬舎文庫)