姉ちゃんの詩集

詩そのものはよいんだけど、この本についてはいくつか不満がある。それが著者によるものなのか出版社によるものなのか分からない。私は後者だと思うが、緊急出版とのことだったので著者の側にも慌てた部分があると思う。

縦書きの不満

実際の詩を見れば分かるけど、サマーは明らかにノートに横書きで詩を書いてます。!の重なりを見れば分かります。それがこの本では縦書きになってます。実際の詩集を手に取れば分かりますが、この影響はかなり大きいです。もともとの詩の力さえも変わってしまったかのような印象を受けます。
日本語は縦書きの方が読みやすいという点で私も同意するのですが、なぜこの本を縦書きにしたのか分かりません。これでは元の詩の味わいがかなり違ってしまいます。

帯の不満

この本には帯が付いていて、それはサイトに載っているものと同じです。例えば以下のようなものです。

ぜひこの本を最後までお読みください。最後の詩を読み終えたとき、あなたの心の中に、今の日本に足りない家族を思う気持ちと、あたたかな感動が広がることをお約束します。書籍として新たに編集された『お姉ちゃん詩集』、ぜひ手にとってお読みになっていただきますと幸いです。
もとの詩を読んだ人なら分かってもらえると思うけど、この詩を、「今の日本に足りない家族を思う気持ち」なんて言葉でアピールして欲しくないと思います。書籍を手に取るたびにこの安直な売り文句を見ることになると思うと憂鬱になります。こういう帯を見ると、帯を書いた人間はサマーの詩の持つ力を信じ切れていなかったのではないかと思います。詩なのだから書店でパラパラめくれば簡単に内容は伝わるはずです。それをこのような帯の言葉で過剰に装飾することは(それも、違和感を覚えるような装飾だ)蛇足もいいところだと思います。

その他の不満

書籍名が「姉ちゃんの詩集」なのになぜ著者がサマーなのか。サマーなら「サマーの詩集」「私の詩集」でいいはずです。ルイーゼでないとおかしい。というか、書籍名もサマーが自分で考えて付けて欲しかったです。「姉ちゃんの詩集」は確かにキャッチーなタイトルかもしれないけど、著者サマーって言葉と微妙にズレています。
これは些細なことだけど、これ一つとっても、出版社が、サマーの詩の力を信じ切ることができず、余計な装飾を付けてしまった印象を受けます。書籍であるこれは、姉ちゃんの詩をできるだけそのままの形で届けて欲しかったです。姉ちゃんの詩は大好きだけど、この書籍については減点せざるをえません。

最後に

Amazonのレビューでボツだったのでこっちに記載。Amazonって結局書店だからネガティブなレビューはすぐにボツにするよなあ。

姉ちゃんの詩集 (MouRa)

姉ちゃんの詩集 (MouRa)