レッド・マーズ

レッド・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)

レッド・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)

レッド・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)

レッド・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)

元の本が1993年出版、翻訳が出たのが1998年ってことである。大学生のときに初版で買って今まで積んでいたというものである。たまに不思議のない歯ごたえのあるSFを読みたくなったら本棚にあったので読み始めた。これが予想外に面白くて一気に読み切ってしまった。火星三部作はこの後、グリーン・マーズ、ブルー・マーズと出版されているのだが、ブルー・マーズは未訳のままである。思い出したときにでも出してください。
イントロは弱い。けど、火星への移民が始まるとすぐに面白くなる。どんな人間が移民にふさわしいか、リーダーシップがあって協調性があってとかいったものを判別するテストがあったりしてそれにみんなが嘘を回答しているしそもそも矛盾だらけだしといった指摘とか、火星植民の倫理的な問題とその対立とか。
もちろん嘘の上に作られているので実際の火星植民はこんな風には進まないだろうなとは思うものの、ぐいぐい読むことができた。
向こうのSFの常として日本人と日本文化がオリエンタリズムの象徴としてヘンテコに描かれているのは気になるけど、ま、当時のSFだからっていうフィルターがかかるのでいま読むときに気にならないのは古いことのメリットかな?