禅銃-ゼン・ガン-

外部のある視点から見れば、ライトノベルや深夜アニメが内輪ウケを意識してそのジャンルの狭い範囲の中で個性を出そうとしているようにも見えるわけで、これは創作の末期症状のように映ることもあるだろう。見方を変えればこれも成熟とみなせるのかもしれない。
なんでこんなことを書いたかというと、本書を読んで、かつて、荒唐無稽SFが今のそれらの位置にいた時代があったのだということをまざまざと感じたのである。独創的なアイディアって形容もできるけど、どこか荒唐無稽のパターンをなぞっているようにも見え、おそらくは当時のSFファンがこの、狭い範囲での些細な個性を理解して楽しんでいたんだろうなという気分にもなった。
本の感想よりも個人的な解釈が先に立ってしまった。
まあいわゆる昔の荒唐無稽SFの一つ。日本文化が実に興味深いくらいの「西洋から見た日本文化のステレオタイプ」になっている。読めないことはないけど、時代の流れの中で熱中した方が面白いんだろうなというおいてけぼり感も強かった。