20世紀の幽霊たち

20世紀の幽霊たち (小学館文庫)

20世紀の幽霊たち (小学館文庫)

デビュー作にして、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞、国際ホラー作家協会大賞の三冠を受賞した、怪奇幻想小説界の超新星である。もちろん国内でも絶賛につぐ絶賛、何の賞を獲ったかは分からないけど、無冠ではないはずである。
個人的に気に入ったのは前半の方で、「シェヘラザードのタイプライター」「年間ホラー傑作選」「二十世紀の幽霊」「蝗の歌をきくがよい」「アブラハムの息子たち」「黒電話」「ボビー・コンロイ、死者の国より帰る」である。「黒電話」削除部分もよかったと思う。あるとないとで作品がまるで違うので読む方としても戸惑うけど、削除部分があったほうが黒電話というタイトルがしっくりくる。
個人的には、前半はよかったけど後半になってくると読んでてダレてしまったので、「そんなに傑作かなあ?」という感じだった。期待していたほどではないというか、そもそもこれだけ期待させる言葉が並ぶとハードルが高くなってしまうのが自分にとっても作品にとっても不幸だったのかもしれない。ダレちゃったのが残念。上品な文章で怪奇を語るスタイルは最近下火になっていたので、こういう作品が書かれるのはいいことだと思います。