窓

窓 (講談社文庫)

鍵 (講談社文庫)

乃南アサを初めて読んだのは「鍵」からだったのでその続編が出たことは非常に喜ばしい。ずいぶん長い間、本棚の肥やしにしていたんだけど、ひさしぶりに乃南アサを読みたくなって本棚から取りだした。最初に読んだときに、「技術のある作者だな」と思ったんだけど、これを読んでもその感想には修正が必要ないくらいだ。乃南アサはいわゆる職業作家であり、プロとしてその仕事を見事にこなす人間だと思ったんだけど、これを読んでしみじみそう思った。これを非人間的だと受け取る人もいるかもしれない。内容は面白いのである。ただ、小説にとりくむ姿勢にすごくプロフェッショナリズムを感じてしまう。これは見事だ。
作品は、聾唖の少女が高校生になって周囲とのずれを感じながらも成長していく家族物語、と説明するしかないな、これは。もしかしたら、その後が描かれることもあるかもしれない。