撃たれると痛い

このスタンリー・ヘイスティングズシリーズは好きです。13を読んで何を読もうか迷ったときに,これならいけると思って久しぶりに続きを読んだんだけど,充分に堪能できました。
このシリーズのファンは多いと思うけど,読んでない人に紹介すると,気の弱い普通の一般市民が事件に巻き込まれる話です。事件は大事件じゃないし,主人公は一般人より優れているわけではないし,なにより登場する刑事がみんな優秀です。とくにこの巻では(シリーズ通して陰の主役である)マコーリフ刑事が,本当にかっこよく描かれています。ここまでカッコいいとむしろフィクションってくらい(笑)
とはいえ,読んだ後,心に残ることがあります。訳者の解説にもある通り,「撃たれる」という経験そのものが伝わってきます。平凡な人間の等身大の物語であるだけに,タイトルや梗概から受ける印象とは違うものが本編にあると思います。シリーズ第二巻の「犯人にされたくない」のような,大きな変化を感じました。ほかの巻が軽いとか重要じゃないとかいう意味ではなくて,味がちょっと違う巻です。

撃たれると痛い (ハヤカワ・ミステリ文庫)

撃たれると痛い (ハヤカワ・ミステリ文庫)