第3ステージ

というわけで男泣きするPetacchiをライブで見ましたよ。栗村さんが、「うわー、やばいです」と一緒に感極まっていたのが印象的。それにしても栗村さんは最初の方からPetacchiについての話を繰り広げて、最後に向かって盛り上げていくのがうまかったです。ほとんど芸だな。
自分が年を取ったという話をするのもなんだけど、年を取って分かるようになったことの一つが、怪我から回復した人間のすごさである。子供のころは、スポーツ選手は怪我から回復するのが当たり前だと思ってたし、いずれリハビリを重ねて怪我の前の力を発揮できるようになるのが当然だと思っていた。多くのスポーツ選手のそういう伝説を聞かされていたので、アスリートというのは自動的に回復するものだと思っていた節さえある。
怪我というものの大変さが分かるには年齢が必要だ。自分がすることもあるし、周りの人間がすることもある。リハビリはみんな必死だし、それでも、前のようには力が入らない、腕や脚が半分くらいしか曲がらない、そんなことが目で見たこととして貯えられるのである。一生残る怪我のほうが、回復するものより多かったりするのだ。そしてそんな治らない怪我でも、日常生活に支障のないレベルまで回復させるのがどれだけ大変か、分かってくるのである。
グダグダ書いた。ようするにスポーツ選手が怪我から回復するというのは本当にすごいことなのである。「本当にすごい」を私は安売りする傾向がある。本当に「本当にすごい」のである。
Petacchiについてはこの辺にして、ちょっとレース展開を覚えているうちに書いておこう。彼の影にかすんでしまったけど、逃げに残った二人の選手、TinkoffMikhail IgnatievQuickStepGiovanni Viscontiについてである。追いかけるメイン集団に一瞬冷や汗をかかせた。解説も言ってたけど、メイン集団の「あ、まずい」という声が聞こえたような気がした。それも、Peletonに落車があったとかではなく、純粋に脚で、アシストが先頭を引っ張っているのになかなか差が縮まらない時間帯があったのだ。前者はオリンピックのトラック競技のゴールドメダリスト、片やイタリアとヨーロッパの2004年チャンピオンである。21歳と24歳。実力でPeletonから逃げ続けるシーンを見たのは初めてと言ってもよく(ようするにあとを考えずに集団を引っ張る先頭と同じスピードで走ったのだ)、とても印象に残った。
後半のギリギリになってお互いが牽制をなんとなく始めてしまうと、集団にあっという間に差を詰められた。あのまま最後まで行ってればあるいはと思ったけど、ゴール前のスプリントのことを考えずに協調して最後まで逃げ続けるというのもそれはそれでプロ失格であるから、必然的な結果だったんだと思う。
あと、ジロはグランツールで一番好きなんだけど、理由は主に二つあり、一つはどこからか激坂を見つけてコースに組み込んでくるサドっ気のあるレイアウトであり、もう一つはイタリアの美しい風景である。南イタリアも北イタリアも私は好きだけど、この季節の本当に萌えるような緑というのはいつまで見ていても飽きないものである。今年コースに組み込まれたSardinia島(カタカナでどう書くのか分からん)はそれに加えて海も綺麗ときていて、見ながら、「あー、俺も一度イタリアを自転車で走りてえ」と思いました。ジロ見るたびに思っているけどね。
ゴールシーンもよかったです。なんといっても実力でPetacchiが勝ったのがよい。誰よりも速く、よって誰も追いつけませんでした。
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