原作通りに作ることと批評

http://d.hatena.ne.jp/Triple3/20071008/p1
上記リンクに書いてあったことは興味深い。ハルヒのテキストの比較なんてなかなか勉強になるのではないだろうか?
しかし、それを置いておいて、ちょっと注意しなくちゃいけないことをここに書いておく。あちこちで何度も書いた上に、元ネタがある受け売りだけど、何度書いてもいいように思うからだ。

駄目な理由の裏の意味

「原作通り」「原作に忠実」という褒め言葉にしたり、「原作と違う」ことを非難の言葉にすることはよくある。私もよくする。けど、ここが指している本当の意味は「面白くない」ということである。
人は理由を説明するのは苦手だ。何かを見たときに「つまらない」ということはすぐに分かっても、なぜ面白くないかを指摘するのは難しい。ここで言う「面白くない理由」というのは、「そこを直せば面白くなる」という正確な指摘のことである。
だから「原作通りじゃない」は面白くない理由にはならない。原作通りにしてもつまらなくなる可能性は多分にあるからだ。
「これ、面白くないなー」「なんで面白くないの?」「原作と全然違うから」なんて会話をよくやるんだけど、ようするに、つまらない理由を真剣に指摘するのは難しいし、原作と違うから面白くないという理由だってまるっきり嘘というわけでもないからそう指摘するわけである。原作と同じくらい面白いことを期待しているわけであって、原作と忠実であることを期待しているわけではないのである。それに、あらすじを知っているファンの立場から言わせてもらうなら、原作以上を期待してしまう部分もあるのだ。

元ネタ

演劇入門 (講談社現代新書)

演劇入門 (講談社現代新書)

「観客がある演劇をリアルじゃないと評したとき、リアルであればいいというわけではない。リアルじゃないと感じさせる「駄目な感じ」がよくないのだ」という内容に目から鱗が落ちる
「原作通りじゃない」ということの本当の意味は、「人格がキョロキョロ変わって一貫性がない」「テンポが悪い」「説明不足」「何が起こっているのか分からない」などの、作劇そのものの不備が原因である。それはもちろん、原作未消化っていう指摘でも外れではないだろうけど、もっと根本的に、駄目な感じを受け手に与えてしまっているってことなんだと思う。

追記(2007-11-10T22:45:41+09:00)

リンク先のコメントには、原作とアニメの関係について、また別の視点から語られていて興味深いです。