1-2巻

噂屋 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

噂屋 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

うーん。アマチュアに毛がはえたというか、もうちょっと何本かネームを切って、ボツを食らって、腕を上げてから連載した方がよかったんじゃないのかと思う。ビミョーに実力不足という感じなんだよな、うまくいえないけど。

追記(2009-01-29T08:47:41+09:00)

コメントがついたのでちょっと書きます。

原作について

話の概要は「噂を広げる商売」をしている噂屋の仕事の話です。噂を広げる噂屋って発想はいい。それどころか、依頼人は政治関係者、マスコミ関係者、芸能関係、証券や金融関係、なんだっていいし、そもそも噂をコントロールできるということは現代においては真実をコントロールできることと同じ力である。
これだけの魅力ある設定なのに、その仕事の魅力が全然生きてこない。2巻まで読んでもライバルの別の噂屋との対決方向にしか話が進んでいない。ライバルと仕事を競うってだけなら噂屋じゃなくてもいいじゃん。ライバルの話は噂屋の仕事をいくつかこなしてから持ち出して世界を広げたほうが絶対にいい。
また、世界がよく分からない。幽霊や超能力は実在する世界なのか、それともしないのか、それも分からない。漫画入門などで「世界観は早目に読者に分かるようにしましょう」などと書かれているが、この漫画を読んでその重要性が実感として分かった。「なんでもあり」は物語の世界としていいものではなく、読んでいて落ち着かないんだと分かった。この漫画ではこのあと、巨大怪獣や宇宙人が出てきてもおかしくない雰囲気があるし、魔法使いの少女が味方になって出てきそうな雰囲気さえある。いっぽうで、超自然トリックのない密室殺人事件が起こっても不思議じゃない感じもする。こういう中で物語を読むのはちょっとしんどい。噂を広げるための具体的手段を紹介して(別に超能力でも魔法でも秘密道具でもウイルスでも大量の工作員でもなんでもいい)、それ以外の超自然現象は存在しないことを明示して欲しいものだ(基本のできた漫画は「まさか超能力とか?」「そんなものあるわけないだろ」というような会話で自然に明示するものだ)。
特に、第1話や第2話の大事なイントロの役割である部分の内容が、残念なことになっていると言わざるをえない。忙しい人なら第3話から改善したとしてももう読んでいないと思われる。

作画について

世界観が分かりにくいことには作画も影響している。耽美なのか軽いノリのあるリアル路線なのか、読んでいてもどっちつかずで分かりにくい。毎回違うとかならいいけど、1話の中にいろいろな要素がごちゃごちゃしていて、統一ができていない。原作と作画に世界観の合意がうまくとれていないと思う。この世界観とはSFやファンタジーのような意味じゃなくて「ジャンル」に近い意味だけど。
アップやロングの使い方もまだまだ。ただ、こちらはそのうちうまくなっていくのではないかと思える。やっぱり要練習という感じだけど。

総合

コミュニケーション不足なんじゃないかな? もっと打ち合わせとかに時間を使った方がいいと思う。