第12話「熱い すごい 新作」

素晴らしい。今までの中でベストエピソード。そして,やっと,これからも見ていこうという前向きな気持ちになった。
アニメとはいえある種のリアリティは大事なんだなと思った。上演前の演出段階で客の反応が予想できなかったり,それから演出を変更していったり,目隠しをして空中ブランコすることを特訓と称する,といったことは,アニメだから仕方ないと容認できるとはいえ,心のどこかでは「そうじゃねえだろ」と思ってしまうことも事実である。ケンのようなスタッフがキャストにやたら絡むのも見ていて不快だ(ケンについては後述)。
今回の話では,無茶な課題に対してぞくぞくするレイラ・ハミルトンがとてもよかった。天才だったらこうでないといかんね。今後のそらに期待させる面白さであった。よく動く映像も子供向けアニメとしては大事な要素だと思う。
スポンサーの意向が幅をきかせ過ぎているのは気になる。内容やキャスティングにまでスポンサーが口を出すと,コンテンツが破綻するのは世の常識である。興行主は,口を出す権利があると思っているスポンサーからスタッフ,キャスト,そして内容を守らなくてはいけないのだが,このカレイドステージのオーナーは充分なガードになっていない。誰かの言うことを素直に聞くだけの人間なら,責任者としては不要なのだ。
と,くさしてみるが,このエピソードはいままでほど「そりゃねえよ」がない,それでいてけれん味のあるよいエピソードだった。
ケンについて。スタッフや同僚といった人間が,特別な感情を仕事に持ち込んで協力し,特別な感情を見返りとして要求するというのがどれだけウザイことなのか,このアニメを見るとよく分かる。間抜けでモテない三枚目として描きたいのだろうけど,このアニメの(少なくともこれまでのエピソードの中での)ケンはそれ以下の最低な存在だと思う。このアニメは女性主観なので,どうしても女性側から見てしまうのだけど,そうするとこういう人間の欠点がダイレクトに伝わってきて,現実世界でも気をつけようという気になる。
もっとも,現実世界で,特別な感情を見返りに仕事を手伝ってくれる人間がいたとしたら,おそらくは私は愛想よくして利用するだけ利用するかもしれないけどね。