双月の騎士 第10話「雪嶺の敵」

はーい。そんなわけでちょっと語っていきます。その前に、ゼロの使い魔第2期については2007-09-10の突っ込みが正しいと思います。ま、私はあくまで原作と(あまり)比較せず、ちゃちゃっと書きます。

地形とロングショット

第一期から不思議だったんだけど、アルビオンのロングショットがアニメでは一度も出てきません。浮遊大陸であるからには、そこに上陸するときに目撃する幻想的なシーンが世界を強く表せると思うのですが、なぜかかたくなに描写を拒否します。そこに攻め込むということ、町や城塞や城の位置を、上空からパッと映すだけでルイズやその国の状況を簡単に理解することができます。ロングショットの絵とはいえ、物は背景と変わりないので(というか凝った美しい映像にする必要はない)、予算がどうあれ、予算なりの絵でそれを視聴者に見せる必要があると思います。
デビューしたての漫画家はロングショットを使わないためによく駄目出しをされるそうですが、このアニメ全般に同じようなことが言えると思います。ロングショットを使うことで、全体と、主人公達の位置関係を説明し、それによって分かりやすさが向上します。
雪山に不時着するのですが、それもどのへんに不時着したのか分かりません。

やっつけの伏線

この脚本家は伏線の使い方が致命的に下手です。ルイズが魔法を使えない理由を後付けで説明したり、戦争や名誉についての考え方の対立を、その回に急にもってきたりします。こういう事柄は、何回か前にさりげなく見せておいて、山場でその結果をドカンと見せなくてはいけません。システマチックな伏線の技術としては、宮部みゆきがうまいので、何でもいいから一冊くらい読んで勉強しておけよという感じです。作劇の副読本でもいいけどさ。

ルイズがやる意味が分からない

作戦を命じられるけど、こういう状況では、他の部隊がどのように動いて、ルイズはその作戦中にどのような役目を果たすことになるのか、きちんと説明しなくてはいけません。作戦が分からないから、ままごとでもしているようにしか見えないのです。
同様に、戦局の説明もありません。その町から首都まではどのくらいなのか。拠点としてどの程度重要なのか。見ている人間はみんな原作を読んでいると思って省略でもしたつもりなんでしょうか?

時代背景への無理解

色々話すと長くなるけど、どうも「戦争」を「太平洋戦争」としてしか認識できてないんじゃないかと思う。貴族同士の決闘や名誉を理解しないまま、「世界大戦」のノリで戦争を描写してしまうから変なことになるのだ。別に西洋史を勉強しろとまで言わないけど、映画「ブレイブ・ハート」と「ジャンヌ・ダルク」だけでも観ておけば、ノリの違いくらい理解できるんじゃないの?と思う。ベルセルクを読むだけでもいいや。
助けてもらっておいて、脚本上の思想の対立を説明するために、不名誉な不意討ちや不義理を働くヘンリーもかなり興醒めです。勝負の決着がついているというのに、感情に任せて助けてくれた人間に危害を加えるとはどういう了見だ。恥を知れ(なんども言うけど、人格より、脚本としての「説明」が必要だったってことなんだろう)。

その他

アニメだからどうでもいいけど、人を背負って未踏の雪原を歩くことがどれだけ大変か分かっている人間にとっては、才人の行為は規格外もいいところです。そんなことできるわけないだろ。
そして、話の展開そのものが早すぎる。なんですかこれは。

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