第28話「限りあるもの」

自分が,第26話「サヤに従うもの」 - UNDER THE SUN「出張版」で書いたDNAの話に真面目に説明が付くとは思いませんでした。一時的に現れるが最終的には消滅して,翼手にもその塩基は存在しないという説明はよいですね。ただ,説明ではDNAを作り替えるメタDNAの役割を果たすとか言ってたけど,DNAの塩基配列は自分自身も記述できるメタ言語なのでそのためだけにほかの塩基は必要ないです。ま,私が引っかかってるのは,第5の塩基があったとして,そこからどうやってアミノ酸を合成するのかってことなんですが。そんなことは地球上の生物には不可能であると分かっているし,それでもどうしても第5の塩基を使ってDNAからアミノ酸を合成させるとしたら,生物として別の仕組みが必要になります。フォン・ノイマン型じゃないコンピュータを開発するようなもんで,まあ,その辺のアーキテクチャを考えたいと思っても,現在は誰も援助してくれないような遠まわりの道であるから,生物にとっても,4つの塩基以外を使うなんてアーキテクチャは遠まわりもいいとこなんじゃないのと突っ込んでみたり。……野暮なんじゃなくてさ,SF設定をあーでもないこーでもないと語るのは床屋談義みたいなもんですよ。
肝心のストーリーだけど,予告編を見る限りでは,小夜の決断というのは,シフを助ける方向には動かないみたいで,緊張しています。カイの語りが意外なほどよかった。人間がみんないい奴なわけでもないように,翼手がみんな悪いわけでもないってのは,なかなかどうして,頭で分かってても言うのが難しい言葉である。